悠久のサハラ砂漠
ル・グランド・スッド ―― 南部に広がる砂漠の絶景
Tozeur, Douz, Ksar Ghilane
アフリカの大自然を感じる旅の入口へ
美しき色の移ろいを見せる砂漠に心奪われる
夜の闇に染められた砂を朝日が白く照らし、風は砂に美しい自然の足跡を刻み、西へと傾いた太陽はまた砂丘を赤く染めていく……。ぬけるような空の下、柔らかな丸みのある砂山が彼方の地平線まで続いていく砂漠の景色は、時間を忘れて眺めていたくなる。チュニジア南部を指す“Le Grand Sud(ル・グランド・スッド)”は、直訳すると広大なる南という意味だが、そこには別のニュアンスも込められている。東をリビアに、西をアルジェリアに接するこの地域は、アフリカ大陸のおよそ3分の1を占めるサハラ砂漠の入口であるとともに、チュニジアの人々にとって誇り高き故郷でもあるのだ。その理由は、一粒ずつがきめ細かく柔らかな手触りのあるこの砂漠を訪れてみればきっと分かる。歴史と文化が幾重にも織り重なってきたこの砂漠には、五感のすべてを使って味わうべき体験が待っている。
Tozeur
砂漠には何万年もの歴史と文化が詰まっている
遺跡めぐり、オアシスでの休息、街歩き…… それは未知との出会いの連続
延々と続いていくかに見える砂漠だが、そこには実は、いくつもの街やオアシスが点在している。チュニジアの南部の砂漠の街は、元々オアシスがあった場所に誕生していることが多いため、街の周囲には名産物でもあるナツメヤシの木々が生い茂っている。砂地に木々がすっくと立ち上がる光景は、アラブのおとぎ話に紛れ込んだかのよう。木々が涼やかな影をつくり、葉と葉の隙間から陽射しが射し込む爽快感を味わえば、地元の人にとってオアシスがいかに大切な場所であることが実感できるだろう。最近では、カフェやレストラン、博物館などもあり、さまざまな楽しみ方ができる。また、南部の最大都市トズールでは、日干しレンガを用いた歴史的な建物がエキゾチズムを感じさせてくれたりと、個性豊かな街も多い。砂漠の民ベルベル人の伝統的な住居やクサールと呼ばれる穀物倉庫跡などの歴史遺産にも心躍るはず。砂漠には、多様な歴史と文化が詰まっている。
Douz
飽きることのない砂漠のアクティビティ
リゾートでもあり、秘境でもある旅の楽しみを追求できる場所
意外と知られていないのが、砂漠の楽しみ方は。アクティビティの豊富さは、実はビーチにも劣らない。ラクダの背に揺られながら遠くの地平線に沈んでいく夕日を眺める静かな時間はもちろんのこと、クワッドと呼ばれる4WDバギーに乗って砂丘を疾走するような、スピードと爽快感に溢れる経験もできるのだ。それは宿泊場所もしかりで、豪華なプールやスパを備えたリゾートホテルから、車で数時間も運ばれてやっと辿り着く、周囲は本当に砂漠だけというテント泊まで、選択肢も豊富。織物や器といった特色豊かな伝統雑貨のショッピングも忘れてはいけない楽しみだ。飽きる暇などみじんもない、そんな知られざる楽しみがル・グランド・スッドには待ち構えている。
Ksar Ghilane