あの映画のロケ地となったチュニジア
歴史と自然が織りなす風景に世界が魅了された
Ma tmâta, Ong El Jemel, Tozeur
SF映画の金字塔その故郷はチュニジアの砂漠?
『スターウォーズ』のロケ地が多く残るチュニジア南部
チュニジアと切っても切れない世界的な映画の名作がある。それが、いまも多くのファンが愛して止まない『スターウォーズ』だ。同作は現在までに6シリーズを公開しているが、そのうち4シリーズがチュニジアをロケ地としているのだ。世界中の熱狂的なファンにとって、チュニジアは聖地。いまもロケ地巡りに訪れる人が後を絶たないばかりか、お気に入りのキャラクターに扮装したファンが集う大きなフェスティバルも開催されるほど。当時のセットが残る場所もあり、ファンならずとも訪れたいところだ。
Matmâta
今も砂漠に残り続ける撮影当時のセット
『スターウォーズ』に描かれた惑星は砂漠の民が実際に使用した住居だった
『スターウォーズ』の代表的なロケ地のひとつが、南部の街マトマタにある「ホテル・シディ・ドリス」。最初期に公開された「エピソード4」(1977年)に登場し、主人公ルーク・スカイウォーカーが暮らす家という設定だった。マトマタは、砂漠の民ベルベル人が多く住んでいた町で、地面に大きな穴を設け、穴の側面にいくつもの空間を堀った“穴居住宅”という独自の様式がいまも多く残されている。地面に立ち、眼下に広がるその光景を見るのはとても不思議な経験。かつてアラブ民族からの攻撃から避けるために誕生した住居様式だというが、まさに異なる惑星に来たような感覚が味わえる。さらにもうひとつが、南部を代表する街トズールから車で1時間ほどのオング・エル・ジュメル。「エピソード1」(1991年)の舞台となったここには、当時作られた小さな集落のセットがまるごと残されている。映画製作スタッフが作ったのであろうスイッチなど、凝った技巧も間近にすることができる、ファン垂涎の地だ。
Ong El Jemel
愛と幻想が織りなす 大人のラブストーリーの舞台にも
『イングリッシュペイシェント』が捉えた 美しきチュニジアの風景
チュニジアの風景を、地球上にはない空想を駆使した光景として描いたのが『スターウォーズ』であるならば、それとは反対に、地球上のもっとも美しい場所として映したのが『イングリッシュペイシェント』だ。戦場で負った怪我がもとで記憶を失った冒険家の主人公の壮大な愛の物語として、アカデミー賞やゴールデングローブ賞など数々の映画賞に輝いた名作。クサールギレンの砂丘やトズールの旧市街、塩湖など、チュニジア南部で多く撮影されている。オング・エル・ジュメルにあるラクダのかたちをした奇岩も重要な撮影場所であるため、『スターウォーズ』と合わせたロケ地ツアーも行われている。チュニジアを訪れる際は、映画を堪能してからというのもひとつの楽しみ方だろう。
Tozeur